定期借地権住宅が供給され始めた頃はまだ住宅地の価格がとても高価でした。どちらかといえば土地付き住宅が高額で手の届かない商品であったのに対して手の届くマイホームの位置づけであったような気がします。今も安いとはとても言えない土地ですが、その価格は当時に比べると格段に安くなり、さらには安定してきています。ではこれから住宅用地はどうなっていくのでしょう。社会情勢を見れば、未来には少子高齢化の進行、人口の減少が言われ、検証としても明らかなようです。土地を所有すること、またはそのために大きな借入れをしていくことについてリスクを心配する声も年々高まってきています。定期借地権の住宅も時代と共に進化してきました、今では個性的で豊かな暮らしを実現する手段として、そして土地について所有や大きな借入をするリスクを回避できる住宅取得方法として見直されてきています。安全に、そして安心して定期借地権住宅、定期借家住宅を選択され、これからの人生を彩り豊かなものにされていかれるように、需要家への適切なアドバイスやサポートも大切な使命であると考えております。
子育ての期間に一番広くてゆとりある住宅が必要なのに、日本人の多くがまだまだその期間に広い住宅に住むことができていないと思います。生活にかかるお金が多いために子育てステージの質を落とさざるを得ないというのはたいへん辛い選択です。定期借地権の物件には大きな庭を持ちながら周辺の土地付き物件より安く購入することが可能となります。また、逆に子供たちが世帯分離し老夫婦だけになってから古く大きな家を持て余しているケースも多くあると思います。子息が家を相続しても居住しないことも今の時代は多く、大きな郊外の家を残す意味がこれからの時代、問われていきます。定期借地権の家を選択して暮らす方々の中にはリタイアシニアも多くいらっしゃいます。都市部で便利で快適に先進設備の家に暮らすという大変革も、定期借地権物件の価格なら負担も小さいがゆえ可能であると思われます。
例えば同じ広さの敷地に同じ広さの建物が同グレードの仕様だとして、片方が定期借地権、もう片方が所有権だとします。平均的なレンジを見るとして定借が2800万円(地代月20,000円)、所有権が4000万円だったと仮定します。(定借物件を所有権同型の70%の価格とした。)
◇定期借地権物件は期間満了後土地を返還しますので何も残りません(保証金などは返ってきます)。所有権ならどうでしょうか?もちろん土地は残りますがはたしてそれは50数年先にいくらで売却できるのでしょうか。
ちなみに30坪の土地で坪40万円なら1,200万円ということになります。
定期借地権ならば地代を600ヶ月位払うことになりますので20,000円×600ヶ月=1,200万円。
たしかに 1,200万円の地代を払って残るものがないのであれば1,200万円高くても地代の不要な所有権の方がその分資産として残り得な気がします。
しかし次を見てください。
一概には言えませんが、結局のところ住宅ローンを利用して購入した場合、かかるお金は大差無いかやや所有権物件購入の方が大きい傾向にあり、購入価格が高いだけに残って当たり前なのかとも思えます。将来土地が値上がりすると考えるならば別ですが、現状より下降傾向にあると予想するならば、土地の所有よりも定期借地権の物件に暮らす方が経済的にもローリスクと考えられそうです。
◇当初からマンションの利用期間が決まっています。つまり、50年以上という契約で設定された期間の満了時にマンションを解体撤去して更地で返還することになり、建替えをめぐってマンション住民同士の対立が起きることもありません。定期借地権マンションは、期間満了時の処理方法を定期借地権設定契約書と管理規定により定めていますが、土地付マンションでは将来の出口は未定としています。
◇マンションの購入者には土地代がかからないので、保証金等の負担を含めたとしても、同型の土地が所有権のマンションと比較した場合、安価で購入が可能です。(よって住宅ローン利用で購入の場合の金利負担も軽減されることになります。)